【サッドグル】シュリー・サイ・サッチャリータより(SHRISAI SATCHARITA)No.0005

【サッドグル】シュリー・サイ・サッチャリータより(SHRI SAI SATCHARITA)No.0005

 すべての生物は食欲、睡眠、恐怖、性という四つの欲望を共通に持っていることは誰でも知っているとおりである。しかし、人間は知性という特別の働きを与えられており、それによって他の生物の得ることの出来ない神我意識を得ることが出来る。だからこそ、人間として生まれる幸運を神々も羨望し、究極の目標である解脱を得るために人間に生まれることを切望するのだ。
 もろもろの不浄が内包され、そしていずれは滅び死んでゆく人間の肉体ほどいやなものはないという人もいる。ある程度それは事実だが、しかしそれにもかかわらず人間が英知を得る能力を持っていること、つまり人間の肉体を持ってこの世に生まれたことは、特別に意義のあることである。
 われわれの肉体や、この世界が滅び去る束の間のものでしかないと考え、そして感覚のよろこびを嫌悪するようになり、真と非真とを識別して神我意識に達することができるのも、人間として知性をもっているからこそ可能だ。
 身体が不浄であるといって、ないがしろにすれば、神我意識に達する機会を逸してしますことになる。そうかといって、肉体を愛し感覚の悦楽を追い求めれば、地獄に落ちる。
 従ってわれわれの踏むべき正しい道は以下の如くである。身体を無視してもいけないし肉体に囚われてもいけない。馬で旅する人が目的地に行き着き、そして家に帰り着くまで馬を大切に世話するような具合に、身体を正しく保っておかなくてはいけない。
 このようにしていれば、人生究極の目標である神我顕現のために、肉体を用いることが出来る。
 神はさまざまの生物をお創りになったが、そのうちの一つとして神のみわざを褒め讃えるものがいなかったので、満足されなかったと言う。そこで神は特別の存在すなわち人間を創って、特別の作用すなわち知性を与えなければならなかった。神はこのように創った人間が神のリーラ(奇跡)すなわち素晴らしいみわざと知識とを賛美することが出来るのをみて、まことに満足した。
 人間の身体を得たことは幸運であり、そしてシルディ・サイババの御足にひざまづき、シルディ・サイババに帰依全託(サレンダー)する機会を持ちうることは最上の幸せと言わねばならない。

 人として生を受けることがいかに貴重なことかを知り、死は必ず我々を訪れ、しかも何の予告もなしに来ることを知るとき、我々は人生の目的を成就するために、いつも心を澄ましていなくてはならない。
 丁度、妻を失ったやもめが一日も早く新たな妻を迎えたがるのと同じように、あるいは王が迷子になった息子を探すためにあらゆる手を尽くすように、そのように私たちはあらゆる努力をして、目的地に到達しなければならない。ぼんやりしたり、怠けたりせず、昼も夜も神我について瞑想するべきである。それをしなければ獣と同じである。

 目的成就のための最も有効で速やかな方法は、自分自身、神我顕現に達したサッドグル(徳高い聖人賢者)に近づくことである。
 宗教の講義や、経典の研究によってでは不可能であったことも、そのようなサッドグルの側に居れば、たやすく成就することが出来る。丁度、大空の星を全部合わせても出せない光を、太陽だけで出すことが出来るように、そのようにサッドグルは、全ての聖典や教えが説くことの出来ない霊的英知を与えるのだ。
 サッドグルの行いや単なる話しでさせ、「無言」の教えである。寛容、平静、無執着、布施、寛大、身心の制御、個我意識を持たぬこと、これらの諸々の特を、弟子たちはそのように清らかな聖者と共に居るときに、見習い、尊守する。それによって、彼らの魂は高められる。
 シルディ・サイババは、そのようなサッドグルなのである。シルディ・サイババはファーキルのように振舞ったが、常に神我を保っていた。シルディ・サイババは常にあらゆるものを愛し、あらゆるものの中に神を見た。賞められても有頂天にならず、不運にあっても滅入りこまない。王も乞食も同じに扱う。
 シルディ・サイババの一瞥は、乞食も王にするのだが、そのようなシルディ・サイババは、シルディ村の各家を門毎に訪れて食物の喜捨を乞うのだった。

<祈り:シュリー・ガネーシャ、シュリー・サラスワティ、シュリー・グル・マハラジに礼を尽くします。敬愛するグルデーヴァ、シュリー・シルディ・サイババにつつしんで頭を垂れます>

(続く)

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